教えて!マイスター

意外と知らない!? アジで学ぶ、焼き魚のキレイな食べ方と正しい和食のマナー

文/ニクイねぇ! PRESS編集部 写真/利根川幸秀

2016.09.09

魚はキレイに食べるよう心掛けているつもりだけど、本当にこの食べ方でいいのか、あまり自信がない……。そんな人も多いのではないでしょうか? そこで「“尾頭つき焼き魚”のキレイな食べ方と作法(マナー)」を、テレビや雑誌などで活躍する料理研究家・小川聖子さんに教えてもらいました。

今回、レクチャーに使うのは、おなじみの魚=アジ。アジをキレイに食べられるようになれば、お呼ばれの席などで立派な尾頭つきの焼き魚を前にしても安心ですよね。これを機会に、ぜひキレイな食べ方を覚えておきましょう!

 

■魚の中央から箸を入れていく

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「尾頭付きの魚の場合、頭が左、お腹の部分が手前になるように出されます。まずは、背骨に沿うように箸を入れていきましょう。頭の付け根から尻尾の方向に向かって、切れ目をつけながら身をほぐしていきます」

 

■上の身から食べる

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「最初に食べるのは、上半分から。さらに頭の付け根(左)から右に向かって食べていきましょう」

 

■中骨を一気に外す

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「続いて下半分も食べたら、中骨を外します。このとき、頭を持つと外しやすいのですが、基本的に料理に手で触れるのは、和食ではマナー違反とされています。特に正式な場などでは避けたい行為ですね。ではどうすればよいのでしょうか? 実は“懐紙(かいし)”と呼ばれるものを使って魚を押さえるのです。後ほど詳しく解説しますね」

 

■皮や骨を集めて懐紙で隠す

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「上の身、下の身も食べて中骨を外し、裏側の身も食べ終えたら、最後の始末です。残った皮や骨を集め、右肩に寄せましょう。できれば、魚の頭を折ってコンパクトにし、一箇所にまとめて見苦しくないように。魚の下にしいてあった笹などがあれば、かぶせたり、もし食事中に使った“懐紙”があれば、最後にそれをかぶせたりしてもOKです」

 

★Point:和食の席で便利な“懐紙”の使い方

「“懐紙”とは、いまでいうところのティッシュペーパーですね。基本的に和食の場合、ナプキンやお手拭きは出てこないものなのです。なので普通は、この“懐紙”を使います。正式なマナーが必要とされる場でこの“懐紙”をサッと取り出すと『マナーをよく知っている人だな』と思われますよ」

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「和紙でできたこの紙を懐に入れておき、お皿が遠くて(大きくて)、箸で手元に引き寄せるまでにこぼしてしまいそうな料理は“懐紙”で受けましょう。折りたたんで使うのが正しい作法で、手前に“輪”がくるように持ちます。ほかにも、お菓子を包むなり、子どもにお小遣いを渡すなり、いろいろなシーンに活用できます」

_DSC6084「粗相したときや口を拭うときも“懐紙”を使えばいいのです。それと、魚の小骨を出すときにも“懐紙”は便利なんですよ。アジなどは特に骨が多いですからね」

 

■尾頭つき焼き魚の“マナー違反”

【魚の頭を右側にして出す→NG】

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「魚の頭は左側にするのが正解です。和食のマナーは“人はすべて右利き”という前提で考えられているので、右手で食べやすいよう左向きにするわけです。いまと違って、左利きの人は必ず右利きに矯正しなくてはいけなかった時代の名残りですね」

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「魚屋さんでも、左向きに置かれることを想定し、内臓を取りやすいよう裏側のお腹に穴を空けてさばきます。ですから右向きに置いてしまうと、こうやって穴が見えてしまうわけです」

 

【魚をひっくり返す→NG】

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「中骨を取る際、ひっくり返して食べたり骨を取ったりするのはNGです。あくまで表は表のまま食べましょう。基本的に日本料理は“盛られた形をあまり崩さない”という慣習があります。お刺身などもすべて美しい形に盛ってあるので、手前から食べて盛りを崩さない。つまり、最後に盛りつけられたものから食べていくようになっているのです」

 

【手皿(手で食べ物を受ける)→NG】

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「焼き魚だけでなく、煮魚や刺し身などを食べるときにもマナーがあります。手のひらを添えて食べ物を運ぶ“手皿”もよく見かける行為ですが、実はこれ、NGなんです。

和食のルールは、まず“手に持てるサイズのお皿は手で持つ”のが基本です。しかし、手に持てない大きなお皿や、持ちにくい形のお皿に料理が盛られている場合もありますよね。そんなとき、煮魚や刺し身など、汁がポタポタとこぼれそうなものを取るときは、手皿ではなく“懐紙”を左手に持って食べるのが正しいマナーです。

たとえば、フランス料理でバナナやりんごがそのまま出てきたとします。でも、どちらもナイフとフォークで皮を剥く正しい方法があるんです。マナーの基本において『手で持っていいですよ』という印は、フィンガーボウルが出てきたときだけ。そして日本料理には、基本的に手で持って食べるという作法はありません。

マナーとは、見ている相手に見苦しいと思われないよう、とにかくキレイに食べること。懐石料理などしきたりが多い場であっても、基本がわかっていればそう困ることはないと思います。ぜひ、大人のマナーを意識しながら、魚や和食をおいしく楽しんでくださいね」

 

教えてくれた人

小川聖子さん

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神奈川県出身。女子栄養大学 栄養学部卒業後、料理研究家としてテレビや雑誌で活動するかたわら、大学院博士課程で日本各地の農産物の成り立ちや在来作物(果物・野菜)の保存と加工法、食文化論を専門的に研究。近著に『塩分一日6gの健康献立』(女子栄養大学出版部)などがある。

 

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