教えて!マイスター

初心者でも大収穫! ガイドに教わる山菜採りの楽しみ方と注意点

文・写真/石井和美

2017.03.13

昔と変わらず、人気の高い山菜採り。自然の恵みを味わえる山菜ですが、初心者にとっては「そもそも誰かが所有している山で山菜を採っていいのか」「危険な毒草を見分けられるのか」「初めてでも山菜は採れるのか」……などなど、さまざまな疑問があります。

そこで、埼玉県飯能市エコツアーとしてNPO法人 西川木楽会が実施している「ユガテの春を楽しむ~観察会と山菜採り~」に参加。山菜を採りながら、植物観察や自然の生態系・生物多様性について学べる内容で、募集が始まるとあっという間に埋まる大人気ツアーです。集合場所は都心から電車で1時間ほどの西武池袋線「東吾野駅」。自然あふれる春のフィールドで、山菜採りについて学んできました。

ガイドしてくださったのは、森林インストラクターの佐藤永治さん。まずは、いまどきの山菜採り事情やマナーについて、緑濃い景色のなかを歩きながら佐藤さんにうかがいました。

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−−そもそも、山は誰かが所有していると思うのますが、山菜を採ってしまって大丈夫なのでしょうか。

「この山は地元の有志でハイキング道をつくって、誰でも入れるようにしました。ハイキングに来てくださる方を歓迎していますので、山菜を採っていただいてもかまいません。

ただし、山菜が自然に生えているところではなく、人の手によって育てている場所や希少な高山植物などがある場所、ハイカーが大勢訪れる場所などでは、ハイキング道があっても禁止されているところがあります。場所によってルールは異なりますから、きちんと守っていただきたいですね」

−−いま山菜採りが大人気ですが、最近になって昔と変わったことはありますか?

「飯能の山では、木の枝葉や樹皮を食べるシカの増加が深刻な問題になっているんです。ここ数年で急に増えたもので、山菜なども根こそぎ食べられてしまいました……。そのため一部は、柵で囲って木や山菜を保護しています」

−−昔は、柵で囲まれたところで山菜採り、なんてなかったですよね。

「そうですね。森を守っていくために仕方のない措置です」

12シカよけのために張られたネットのなかは山菜が豊富。みなさん夢中で山菜採りを楽しんでいます

13シカに荒らされていないからか、こんな立派なウドも!

−−山菜採りをする際、ハイカーに守って欲しいことはありますか。

「特にはないですね。最近のハイカーはマナーがよいので助かっています。ゴミは持ち帰っていただきたいのですが、いまは山にゴミが落ちていることはほとんどありません」

 

まぎらわしい毒草や漆には要注意

楽しく、健康的で、採れたらおいしく食べられる……といいことずくめの山菜採りですが、注意しなければならないのは、誤って毒草を取らないようにすること。

毒草や毒キノコは、毎年誤って食べてしまう方が後を絶たないそうです。うっかり食べてしまうと、嘔吐、下痢、手足や指のしびれ、麻痺などの中毒症状を起こします。重症の場合には死に至ることも。まぎらわしい山菜について、佐藤さんが解説してくれました。

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■セリと毒ゼリ

さっそく、きれいな小川のほとりでセリを発見! 香りがよく、人気の高い山菜です。しかし、注意してほしいと佐藤さん。「毒ゼリに注意しましょう。毒ゼリは葉の先端が大きく、根元を切ると竹のような筒状になっています」とのこと。それぞれの特徴や見分け方などは、こちら(東京都薬用植物園 セリとドクゼリ)も参考にしてみてください。

4これが食べられるセリ。摘みたては香りが強いのが特徴。毒ゼリは見つけられませんでしたが、根元を切ってみてなかが中空になっていたら要注意です

 

■ニリンソウとヤマトリカブト(毒草)

5白い小さな花が咲いているのがニリンソウ。有毒のヤマトリカブトと非常に似ている

川辺に群生していたのは、ニリンソウです。有毒なヤマトリカブトに葉の形状や生え方が酷似している植物。トリカブトの花は紫なのですが、食用としては芽生え時期の葉の状態で取るため、見分けがつかず、事故に至るケースもあるそうです。

佐藤さんは「ニリンソウとヤマトリカブトは同じ環境に生えていて、非常に見分けがつきにくい。ニリンソウを見つけたと思っても、食べずに鑑賞しておくだけにしておいた方がいいでしょう」と警告していました。こちら(東京都薬用植物園 ニリンソウとヤマトリカブト)も参考にしてみてください。

 

■キノコ類

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人が原木で育てている椎茸などのキノコはもちろん大丈夫ですが、上の写真のように、地面に生えている野生のキノコは要注意。「プロでも見分けがつきにくいですね」と佐藤さん。キノコ類は毒性が高いものも多いため、無毒の品種であるとはっきりしたもの以外は食べないようにしましょう。

 

■漆にも注意を!

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山菜ではありませんが、注意してほしいのは漆(うるし)。道の脇にたくさん生えていました。「さわるとかぶれますから、歩くときには注意してください」と佐藤さん。低い位置にもあるので、お子さんといっしょの場合は特に注意してあげてください。

実際に山に入ってみると、見分けのつきにくい山菜が多いことに驚きました。山の標高や日当たりによって、山菜の種類がガラリと変わります。

歩きながら、参加者たちからは「これは食べられますか?」という質問が多くありましたが、食べられないものも多く、山菜採りの初心者が見分けるのは難しいものだと感じました。初心者の方は、森林インストラクターなどに同行し、まずは植物をよく知ってから山菜採りを楽しむことをおすすめします。

 

2時間で大収穫! アクの強い山菜は天ぷらで

 

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自然いっぱいの野山を歩き回り、山菜採りに夢中になること2時間。ワラビ、ウド、タラノメ、セリ、モミジガサ、サンショウ、シオデ、リョウブ、ハナイカダ、ノビル、タカノツメ、ミツバ……。こんなにたくさんの種類の山菜を採ることができました。佐藤さんが気づいて教えてくれなければ、採れなかったものばかりです。

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ちょっとアクを感じる山菜は、天ぷらにして食べるのが一番。たくさん採れたワラビはアク抜きが必要で、すぐに天ぷらにすることはできませんでしたが、その他の山菜は調理できました。山菜天ぷらは香りがよく、採りたての贅沢を味わうことができました。

こんなにおいしい山菜ですが、ものすごく大量に採ってしまう人もいると聞きます。それについて佐藤さんにうかがうと「売ることが目的で大量に採るようなことはしてほしくありませんが、家で食べきれる程度を採っていただくのはかまいません。ただ、山菜を見つけたからといって、その場所にある山菜を根こそぎ採ってしまうと、翌年に生えなくなってしまうこともあります。すべて採るのではなく、少し残していただければ、と思います」とのこと。

森林の生態系から生まれた恵みをいただく山菜採り。初心者でも、ガイドの方といっしょなら、危険を避けながら十分に楽しめます。ルールを守り、誰もが毎年楽しく山菜を採れるようにしたいですね。

 

教えてくれた人

佐藤永治さん

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NPO法人 西川木楽会 森林インストラクター。飯能市エコツーリズムのガイドを始めて5年。森林を次世代に残していくために、ボランティアによる森づくりに力を入れている。

飯能市エコツーリズム http://hanno-eco.com/

※本記事の取材は2016年4月に行ったものです。2017年の「ユガテの春を楽しむ~観察会と山菜採り~」ツアーは、4月23日(日) 9:00~14:30に開催予定。

 

文・撮影/石井和美

フリーライター・家電プロレビュアー。子ども2人と夫の4人家族。白物家電や日用品の製品レビューを得意としている。Webや雑誌などで多数執筆中。家電blog(http://kaden-blog.net/)管理人。

 

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