ニクイねぇ!調査隊

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なぜ、イオンは朝採れ野菜を売り場に並べるのか?(前編)

スーパーマーケットの「イオン」が、その日の早朝に採れた新鮮な朝採れ野菜を、お昼ごろまでに陳列して販売する“今朝採り野菜”と銘打った売り場を、2016年の春から展開しています。なぜイオンは、朝採れ野菜を販売し始めたのでしょうか? 売り場を企画した千葉泰彦さんに話を聞きました。 イオンリテール株式会社農産商品部 統括マネージャー千葉泰彦さん ──まずは、なぜ“今朝採り野菜”を売り場の名称にしたのか教えてください。この売り場をつくる前にお客さまにインタビューなどをした際、新鮮なイメージの言葉ってなんだろう? と聞いたところ、“朝採れ”=新鮮というイメージが強い、という結果が出たのです。そして現在、売り場では“朝採れ”という言葉ではなく、“今朝採り”という言葉を使っています。“朝採れ”というと、いつの朝かわかりませんが、“今朝”にすることで、今日の朝に採れた、という意味合いが強まりますからね。──お客さまの感性に訴えるフレーズだった、ということでしょうか?あくまで科学的な根拠はありませんが、買う側と売る側とが共感できる言葉なのでしょうね。売り場としても、鮮度の高さをアピールでき、お客さまの購買意欲を高める手段のひとつとして使わせていただいております。──いつ頃からこちらの売り場をつくる計画が持ち上がったのでしょうか?実はアピールしていなかったものの、数年前からこの売り方自体はやっていたのです。今朝採った野菜を売り場に並べるには、まずは時間と距離の制約があります。当然、店舗に並ぶまでの距離と時間が短い方が、新鮮さを維持しやすいですよね。野菜はあくまで生き物ですから。──では、なぜ今回、それをアピールするようになったのでしょうか?タイミング的な話ですね。新鮮さ以外にも、地元で採れた野菜なら距離をあまり運ばずに売り場に並べられるので、CO2の削減にもつながりますから、環境にもいいというイメージがあります。環境に配慮することは、私ども販売サイドにとっても、お客さまにとっても、いい取り組みだと考えたからです。──野菜はどのような仕組みで運ばれているのでしょうか?グループ会社イオンアグリ創造が経営する直営農場が全国に21箇所あり、そこで畑を耕し、採れた野菜を、我々が販売するというスキームになっています。さらに、直営農場以外にも、それぞれの地元で採れるおいしい作物などを届けることも、並行して行っています。それぞれ専用車両で朝に巡回して収穫、1~3時間後には近隣の店舗を中心に、売り場に並べられるような仕組みです。──お客さまの反応はどうですか?おおむね好評だと思います。お客さまには、例えば“道の駅”などと同じように、鮮度がいいイメージを持たれていると思いますし、そういう売り場を目指しています。実際「農場から何キロ以内の店舗に今朝採り野菜の売り場をつくる」といった明確な規定は設けていませんが、近隣で営業している店舗に対し、午前中のなるべく早い時間に直接運び入れて販売する、という流れにしています。──実際、どれくらいの数の店舗に今朝採り野菜売り場があるのでしょうか?最初は数店舗で実現できればいいかなぁという感じでしたが、いまは2ケタの店舗に売り場が設けられています。春に採れるけど夏には採れない、秋には採れるけど冬には採れないなど、シーズンによって野菜のバリエーションが変わってくるので一概にはいえませんが、最大100店舗を超えたこともあります。──現在、イオンは全国に何店舗くらいあるのでしょうか?イオンリテールで管轄している店舗は400店舗ほどですね。──今朝採り野菜売り場に関して、農場側からの反応はいかがでしたか?これは、直営農場に限った話ではないですが、もともと農家の方のライフサイクルって、朝が早いんですよね。朝に収穫した方が高品質という作物を扱っているかどうかにもよりますが、一般的には、皆さん明け方から動き出し、作物を採るという方が多いので、朝早い分にはあまり負担にはなっていないようです。特に夏場だと、日中は暑くなりすぎるので、屋内での労働は適しませんから、朝に気温が低いうちに働く方が効率良く働けますよね。──最初からみなさん、協力的だったのですね。農場としては、なるべく良い状態でお客さまに作物を届けたいでしょうし、おいしく食べてもらうことが一番の喜びですからね。お客さまに「今朝採れたものを買って帰ったから、おいしく食べられた」といわれるのは、うれしいことなのです。──つくり手からすると、最高の状態で食べてもらうというのは、うれしいですよね。そうなんです。本来、お客さま自身が、つくられた農場に直接買い付けに行ければ一番良いのでしょうが、現実的には無理なわけです。実際には、お客さまが野菜を購入される場所はスーパーマーケットが約8割なので、スーパーマーケットは生産者とお客さまをいかにつなぐかが、販売のキーポイントになると思います。──ちなみに、こういった取り組みはライバル店でも行われているのでしょうか?正直、やろうと思えば、他のスーパーマーケットでもやれることですよね。物流自体はさほどハードルは高くありません。地方の「道の駅」なども基本的には同じです。ただし、多くのところがやろうとしても、朝に採れる作物の量は限られるわけですから、限られたパイの奪い合いになりますね。──朝採れた野菜を専用車両で効率的に運んでいるとのことですが、店舗ごとのばらつきなど、調整はどうように行われているのでしょうか?もちろん、天候などによってばらつきは出ますが、それは野菜を取り扱っている以上、特別なケースではありません。予定では100本採らなければならなかったのが、実際は雨で60本しか採れなかったとか、生育が悪く、25cmで採らなければならないものが15〜20cmで採らざるを得なかったとか、そういうケースがたびたびあるんです。でも店舗には、今朝採り野菜以外の売り場もあるため、他の売り場にその分多くの野菜を並べるなどして、お客さまのお買い物に支障が生じないよう、バイヤーが調整しています。逆に、今日採らなければ成長しすぎて売れなくなる、といった理由で、予定より多く入荷することもありますが、それも「頑張って売りましょう」と、農場とコミュニケーションを取りながら、日々売り場をつくっています。──LEDなどで野菜を育てる、管理農場などをつくる計画はないのでしょうか?現在のところ、管理農場などをつくる予定はありません。ただし、通常の小さいビニールハウスではなく、もっと規模の大きい施設型農場を埼玉県久喜市につくります。トマト農場なのですが、国と県とイオンの3者でコンソーシアムをつくり、コンピュータで栽培の管理と生産調整を行って、この6月から実際に稼働します。──現在、今朝採り野菜売り場で扱っている商品は、どのようなものなのでしょうか?今の時期だと小松菜、水菜、白菜などがメインですね。さらに、葉物などがこれから入り始める頃でしょうか。春から夏にかけては、枝豆やほうれん草、チンゲンサイ、とうもろこし、レタスなどを扱います。また、イオン農場以外では、先日、いちごも扱いました。いちごは果物だと思われがちですが、本来は野菜なんですね。──いいものを並べましょう、ということで、フレキシブルに対応していかれるんですね。急に良い野菜を仕入れられる、といったことも、店舗側と農場側とのコミュニケーション次第で実現できるんです。それだけの量が採れる予定なら、今朝採り野菜売り場にも置けるよね、といった具合に。お客さまにおいしいものを届けられると判断すれば、そのときそのときで臨機応変に対応していくということです。──今朝採り野菜がきっかけとなり、新たな農家さんとのつながりができた、などの例はありますか?もちろんあります。農家さんからは「イオンは大量に野菜を育てていないと取引できない」と思われている場合も多いのですが、実際は少しの量であったり、1週間しか採れないようなものでも、お客さまによろこんでもらえる作物でしたら、お取引が可能になっています。商売の裾野が広がっているのは間違いありませんね。生産者さまとのコミュニケーションで「こんな価値観だったら売れるよね」とひとつひとつ話し合いながら進めてきた結果です。──「こんな価値観だったら〜」とはどういうことですか?お客さまにとってみたら、同じ野菜だったら100円よりも1円安い99円で買えた方がいいですよね? でも、いつ採れたかわからない野菜よりも、今朝採れた野菜の方が、仮に20円高かったとしても、もしそこにお客さまが価値を見出していただけるのなら、生産者さんも収入が増えますし、みなさんそれぞれ努力をされます。結果として、よりいいものをお客さまが手に入れられる可能性が高まるんです。 後編へ続く http://www.nikuine-press.com/survey/post_4851/ イオンリテール http://www.aeonretail.jp/ 【こちらの記事もオススメです】 [glink url="http://www.nikuine-press.com/howto/post_47/"][glink url="http://www.nikuine-press.com/howto/post_1368/"][glink url="http://www.nikuine-press.com/howto/post_3598/"]

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なぜ、イオンは朝採れ野菜を売り場に並べるのか?(後編)

(前編はこちら http://www.nikuine-press.com/survey/post_4551/)──最近、冷蔵庫でも、より鮮度を保つ野菜室に対するニーズが高まってきました。イオンでも、ここ数年、野菜に対するニーズが変わったな、という実感はありますか? 野菜の消費量は実は増えてないのですが、そのなかでずっと、わずかずつではありますが、増え続けているのが生食用サラダの野菜ですね。また、和食回帰のニーズも高まってきているので、おひたしなどに使われる葉物野菜への注目度は高まっていると感じます。また、機能性野菜といった言葉もあるように、野菜自体への関心度が高まっているのは間違いないですね。その背景には、キーワードとして健康やダイエット、美容などがあります。飲料の形で野菜を摂取するにしても、昔はトマトジュースしかありませんでしたが、最近はコールドプレスジュースや野菜ジュース自体の種類がかなり増え、それらすべてが健康と美容というキーワードとつながっているのだと、売り場から実感させられますね。さらに、増え続ける医療費などの社会背景から、自分の体は自分で守り、健康寿命を自分で伸ばそう、という意識が高まっていますので、野菜のニーズが増加していることへの実感は、今後、ますます高まっていくのではないでしょうか。──野菜自体の価値を上げる売り方は、どのようなものが考えられますか?一番わかりやすいのは、オーガニックというキーワードではないでしょうか。10年前くらいから有機栽培農家の農産物なども扱っていますが、最初はあまり売れなかったんです。ですが、オーガニックはグローバルな視点からも注目されていますし、日本でも徐々に意識が高まってきているので、かつてに比べるとかなり売れるようになってきています。通常の野菜と比べて2倍の値づけであっても、買っていただけるような状況が見られ始めていますね。──生活者の野菜に対する意識も、確実に高まっているのでしょうか?先進国のなかでも、日本はまだまだ野菜に対する意識が足りないというか、無頓着な印象があります。海外では、レストランでベジタリアン向けのメニューやハラルフードなど、宗教的なメニューが当たり前のように存在しますが、日本ではようやく最近になって、というイメージですよね。──まだ、それらのメニューがニュースになるような段階ですね。 その辺に対する意識が、ようやく日本でも少しずつ高まってきているのも、野菜への注目度が高まっている理由のひとつかなと思います。──ところで、生産管理が難しい野菜というのはあるのでしょうか? また、それらを管理するに当たって、独自に工夫されていることなどがありましたら教えてください。やはり生鮮食品ですから、コールドチェーンがキーポイントです。生産から運搬、売り場の陳列まで、どれだけ適温を保てるか、温度管理を一定にしたままの配送ルートを維持できるか。その管理などに工夫が施されていますね。──例えば、葉物野菜はシナシナになってしまいやすく、根菜類と比べると保存する際に苦労しますが、売り場でもそれをフレッシュな状態に保つ工夫などをされているのでしょうか?野菜って、生き物なんですよね。野菜は成長しますから、温度と水分が重要。シナシナに乾燥する要因は、野菜の蒸散作用にあります。野菜も呼吸しているので、これをいかに抑えるかが保存の際のポイントになってきます。通常の売り場で管理するのはなかなか難しいのですが、だからこそ、今朝採り野菜が重要なんですよね。今朝採れた野菜を店頭に並べて、すぐにお客さまに手渡せる。短い時間で運んで、短い時間でお客さまの手に渡るようにする行為につながってくるんです。昔の八百屋さんなら、その日に仕入れたものをすべて売り切ることができたでしょうが、スーパーマーケットは営業時間も長いですし、なかなかそれを実現することはできません。ですから、鮮度を保つこと自体は、我々にとって今朝採り野菜売り場に限らず重要なことですし、売れる時間帯に合わせ、温度管理をしている冷蔵庫からタイミングよく品出ししたり、品出し自体の回数を管理したりしています。そこもコールドチェーンでつながっていて、データを見ながら実現しています。──肉や魚でも、同じような売り方は行えるのでしょうか?肉は難しいですが、魚は野菜と同様、以前からこういった売り方を行っています。直接バイヤーが漁師さんから買い付けて、一次処理だけ行ってそのままトラックに載せ、午後1時から2時には店舗の棚に並べるようなイメージです。野菜と同様、魚はお客さまが鮮度を一番気にする食材ですから、運搬時間をなるべく短くし、鮮度を保っています。──そうした売り方は、イオンだからできることであり、やはり中堅どころのスーパーマーケットだと難しいのではないのでしょうか?確かに、スケールメリットはありますね。ただし、この今朝採り野菜売り場を実現できたのは、もともとイオンアグリ創造のトップが私たちと同じバイヤーであり、売り手の気持ちがわかるという点も大きいですね。スピード感をもってやっていきたいといったら、それに対し、できるだけ努力をしてくれますし、融通や小回りを効かせてくれます。通常のプロダクトアウトだけではなく、マーケットインまでやっていける強みがそこにもあります。──最近、日中働いている共働き夫婦が増えたことで、毎日食材を購入する人に加えて、まとめ買いしつつも、できるだけ鮮度の良い状態で食べたいから保存方法にこだわりたい、という人が増えています。そういったお客さまのライフスタイルの変化を売り場でも感じますか?それは日々感じています。冷蔵庫代わりにスーパーマーケットやコンビニエンスストアを使われる方も実際にはいらっしゃいます。共働きのご夫婦が増え、夜遅くまで開いているスーパーマーケットで遅い時間に買い物をされる方や、週末にまとめ買いをされる方が増えたな、と感じています。こういったライフスタイルは、今後さらに多様化することが予想されますが、少しでも鮮度のいい、いわゆる棚持ちのいいものを私たちが用意し続けることは、これまでと変わりがないと考えます。まとめ買いされる方が冷蔵庫に入れたものをすぐに食べるとしても、2、3日経ってから食べるにしても、私たちの「できるだけ鮮度のいい食品を提供したい」という考えは、決して変わりません。──野菜の産地をしっかり店舗で表示することで、売上を伸ばしている飲食チェーン店があります。それと同じように、スーパーマーケットでも鮮度の高いものを求めて人が集まり、また、お客さま自体の意識も高まっている、ということですね。以前は、店頭に並んでいるブロッコリーの産地がどこなのか、とか、この肉はどこで加工されたものなのか、といったことを気にする人は、あまりいなかったと思うんです。どちらかといえば、おいしければなんでもいい、という感じでした。ただ近年、食の世界では“安全安心”神話がいろんな意味で崩れかけているところがあります。“国産にこだわる=安心感を与える”ことで業績を伸ばしている飲食チェーンがあるように、安心感は今の日本人の心をつかんでいるのです。──形がいびつだったり、不ぞろいな方が、かえって安心感を得られることもありますよね。感覚的にはそうなんですよね。一概にはいえませんが、野菜を選別して規格をそろえるのには時間がかかります。最初に規格をそろえるように仕向けたのは、実は私たち、スーパーマーケットをはじめとする店舗側なのですが、今は少しでも早く、新鮮なうちに持ってくることにも力を入れていますし、食品廃棄なども重要な課題になってきているので、たとえ不ぞろいであっても、栄養価の高いものを優先して販売していくことが、ひとつの販売スタイルなのかな、と考えています。今朝採り野菜はまさに、その一環なんですね。──今後、お客さまの声が今朝採り野菜の売り場に反映されることもあるのでしょうか?一定の声が大きくなってくれば、検討したいとは思っています。仕入れのチャネルはいろいろありますし、私たちの商売はお客さまのニーズに応えるのが第一ですから。お客さまからの「こんな商品が欲しい」「こんな野菜をつくって欲しい」といったリクエストがあれば、最大限対応していくつもりです。(前編はこちら http://www.nikuine-press.com/survey/post_4551/) イオンリテール http://www.aeonretail.jp/【こちらの記事もオススメです】 [glink url="http://www.nikuine-press.com/howto/post_47/"][glink url="http://www.nikuine-press.com/howto/post_1368/"][glink url="http://www.nikuine-press.com/howto/post_3598/"]

教えて!マイスター

初心者でも大収穫! ガイドに教わる山菜採りの楽しみ方と注意点

昔と変わらず、人気の高い山菜採り。自然の恵みを味わえる山菜ですが、初心者にとっては「そもそも誰かが所有している山で山菜を採っていいのか」「危険な毒草を見分けられるのか」「初めてでも山菜は採れるのか」……などなど、さまざまな疑問があります。そこで、埼玉県飯能市エコツアーとしてNPO法人 西川木楽会が実施している「ユガテの春を楽しむ~観察会と山菜採り~」に参加。山菜を採りながら、植物観察や自然の生態系・生物多様性について学べる内容で、募集が始まるとあっという間に埋まる大人気ツアーです。集合場所は都心から電車で1時間ほどの西武池袋線「東吾野駅」。自然あふれる春のフィールドで、山菜採りについて学んできました。ガイドしてくださったのは、森林インストラクターの佐藤永治さん。まずは、いまどきの山菜採り事情やマナーについて、緑濃い景色のなかを歩きながら佐藤さんにうかがいました。−−そもそも、山は誰かが所有していると思うのますが、山菜を採ってしまって大丈夫なのでしょうか。「この山は地元の有志でハイキング道をつくって、誰でも入れるようにしました。ハイキングに来てくださる方を歓迎していますので、山菜を採っていただいてもかまいません。ただし、山菜が自然に生えているところではなく、人の手によって育てている場所や希少な高山植物などがある場所、ハイカーが大勢訪れる場所などでは、ハイキング道があっても禁止されているところがあります。場所によってルールは異なりますから、きちんと守っていただきたいですね」−−いま山菜採りが大人気ですが、最近になって昔と変わったことはありますか?「飯能の山では、木の枝葉や樹皮を食べるシカの増加が深刻な問題になっているんです。ここ数年で急に増えたもので、山菜なども根こそぎ食べられてしまいました……。そのため一部は、柵で囲って木や山菜を保護しています」−−昔は、柵で囲まれたところで山菜採り、なんてなかったですよね。「そうですね。森を守っていくために仕方のない措置です」シカよけのために張られたネットのなかは山菜が豊富。みなさん夢中で山菜採りを楽しんでいますシカに荒らされていないからか、こんな立派なウドも!−−山菜採りをする際、ハイカーに守って欲しいことはありますか。「特にはないですね。最近のハイカーはマナーがよいので助かっています。ゴミは持ち帰っていただきたいのですが、いまは山にゴミが落ちていることはほとんどありません」 まぎらわしい毒草や漆には要注意楽しく、健康的で、採れたらおいしく食べられる……といいことずくめの山菜採りですが、注意しなければならないのは、誤って毒草を取らないようにすること。毒草や毒キノコは、毎年誤って食べてしまう方が後を絶たないそうです。うっかり食べてしまうと、嘔吐、下痢、手足や指のしびれ、麻痺などの中毒症状を起こします。重症の場合には死に至ることも。まぎらわしい山菜について、佐藤さんが解説してくれました。 ■セリと毒ゼリさっそく、きれいな小川のほとりでセリを発見! 香りがよく、人気の高い山菜です。しかし、注意してほしいと佐藤さん。「毒ゼリに注意しましょう。毒ゼリは葉の先端が大きく、根元を切ると竹のような筒状になっています」とのこと。それぞれの特徴や見分け方などは、こちら(東京都薬用植物園 セリとドクゼリ)も参考にしてみてください。これが食べられるセリ。摘みたては香りが強いのが特徴。毒ゼリは見つけられませんでしたが、根元を切ってみてなかが中空になっていたら要注意です ■ニリンソウとヤマトリカブト(毒草)白い小さな花が咲いているのがニリンソウ。有毒のヤマトリカブトと非常に似ている川辺に群生していたのは、ニリンソウです。有毒なヤマトリカブトに葉の形状や生え方が酷似している植物。トリカブトの花は紫なのですが、食用としては芽生え時期の葉の状態で取るため、見分けがつかず、事故に至るケースもあるそうです。佐藤さんは「ニリンソウとヤマトリカブトは同じ環境に生えていて、非常に見分けがつきにくい。ニリンソウを見つけたと思っても、食べずに鑑賞しておくだけにしておいた方がいいでしょう」と警告していました。こちら(東京都薬用植物園 ニリンソウとヤマトリカブト)も参考にしてみてください。 ■キノコ類人が原木で育てている椎茸などのキノコはもちろん大丈夫ですが、上の写真のように、地面に生えている野生のキノコは要注意。「プロでも見分けがつきにくいですね」と佐藤さん。キノコ類は毒性が高いものも多いため、無毒の品種であるとはっきりしたもの以外は食べないようにしましょう。 ■漆にも注意を!山菜ではありませんが、注意してほしいのは漆(うるし)。道の脇にたくさん生えていました。「さわるとかぶれますから、歩くときには注意してください」と佐藤さん。低い位置にもあるので、お子さんといっしょの場合は特に注意してあげてください。実際に山に入ってみると、見分けのつきにくい山菜が多いことに驚きました。山の標高や日当たりによって、山菜の種類がガラリと変わります。歩きながら、参加者たちからは「これは食べられますか?」という質問が多くありましたが、食べられないものも多く、山菜採りの初心者が見分けるのは難しいものだと感じました。初心者の方は、森林インストラクターなどに同行し、まずは植物をよく知ってから山菜採りを楽しむことをおすすめします。 2時間で大収穫! アクの強い山菜は天ぷらで 自然いっぱいの野山を歩き回り、山菜採りに夢中になること2時間。ワラビ、ウド、タラノメ、セリ、モミジガサ、サンショウ、シオデ、リョウブ、ハナイカダ、ノビル、タカノツメ、ミツバ……。こんなにたくさんの種類の山菜を採ることができました。佐藤さんが気づいて教えてくれなければ、採れなかったものばかりです。ちょっとアクを感じる山菜は、天ぷらにして食べるのが一番。たくさん採れたワラビはアク抜きが必要で、すぐに天ぷらにすることはできませんでしたが、その他の山菜は調理できました。山菜天ぷらは香りがよく、採りたての贅沢を味わうことができました。こんなにおいしい山菜ですが、ものすごく大量に採ってしまう人もいると聞きます。それについて佐藤さんにうかがうと「売ることが目的で大量に採るようなことはしてほしくありませんが、家で食べきれる程度を採っていただくのはかまいません。ただ、山菜を見つけたからといって、その場所にある山菜を根こそぎ採ってしまうと、翌年に生えなくなってしまうこともあります。すべて採るのではなく、少し残していただければ、と思います」とのこと。森林の生態系から生まれた恵みをいただく山菜採り。初心者でも、ガイドの方といっしょなら、危険を避けながら十分に楽しめます。ルールを守り、誰もが毎年楽しく山菜を採れるようにしたいですね。 教えてくれた人佐藤永治さんNPO法人 西川木楽会 森林インストラクター。飯能市エコツーリズムのガイドを始めて5年。森林を次世代に残していくために、ボランティアによる森づくりに力を入れている。飯能市エコツーリズム http://hanno-eco.com/※本記事の取材は2016年4月に行ったものです。2017年の「ユガテの春を楽しむ~観察会と山菜採り~」ツアーは、4月23日(日) 9:00~14:30に開催予定。 文・撮影/石井和美フリーライター・家電プロレビュアー。子ども2人と夫の4人家族。白物家電や日用品の製品レビューを得意としている。Webや雑誌などで多数執筆中。家電blog(http://kaden-blog.net/)管理人。 ●こちらの記事もオススメです![glink url="http://www.nikuine-press.com/howto/post_1216/"][glink url="http://www.nikuine-press.com/howto/post_1901/"][glink url="http://www.nikuine-press.com/trial/post_644/"]

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知らなきゃ損! 料理の幅が広がる「葉物野菜」マンネリ解消レシピ5

サラダにしたりお味噌汁に入れたり、寒い時期なら鍋の具材にと、ついいつも似たような使い方をしてしまいがちな葉物野菜。もっといろいろな料理に使いたいけれど、イマイチおいしい食べ方がわからない。特売日に買いだめしても、なかなか使いきれない……。そんな方は少なくないはず。実は、葉物野菜は合わせる食材や調理方法を工夫するだけで、マルチに使える便利な食材なのです。そこで今回は、料理家の橋本彩子さんに、買いだめ食材も難なく使い切れる“フレッシュな葉物野菜レシピ”を教えてもらいました。「生で、もしくは、ゆでて食べるイメージが強い葉物野菜ですが、お肉やベーコンなど、旨味のある食材といっしょに調理すると、食べやすさがアップして量もたくさん摂れます。苦味やアクを軽減するには、オイルを使ったり揚げたりといった、ひと手間を加えること。生だとお子さんがなかなか食べてくれない……というご家庭も多いようですが、春菊サラダのようにドレッシングを工夫すれば、格段に食べやすくなりますよ」(橋本さん) Recipe 1  レタス半玉を贅沢使いレタスたっぷり肉巻き焼き「2人分のレシピで1/2玉分のレタスをたっぷり使ったレシピです。塩もみしたレタスにお肉を巻いてボリュームアップ。レタスは水気があるので、ソースがさらさらしていると、はっきりしない味になってしまいます。最後に冷たいバターを入れ、お肉とよく絡むとろみのあるソースをかければ、ごはんとの相性も抜群!」(橋本さん) 材料(2人分)レタス…1/2個豚ロース肉(薄切り)…4枚バター…5g薄力粉、塩、コショウ、ごま油またはサラダ油…各適量 <A>しょうゆ、みりん、日本酒…各大さじ1 つくり方(1)レタスは適当な短冊状に切り、塩少々(分量外)をふり、軽く揉んで10分ほど置く。その後水気を絞る。(2)豚肉を2枚、互い違いに広げて塩、コショウをふり、上に丸めた(1)を置く。豚肉で(1)を巻き、球状や俵状に形を整える。(3)熱したフライパンに油をひき、薄力粉をはたいた(2)を並べて、中火弱で転がしながら焼く。火を止めて<A>を加え、絡める。最後にバターを加えて、ソースにとろみをつける。 ★Point レタスは塩もみして水気を絞る「レタスは塩もみして、お肉を巻く前にしっかり水気を絞ります。手でギュッと水分を絞ってください。余計な水分が残っていると、お肉が巻きづらかったり、ソースが水っぽくなったりして、味が落ちる原因に」(橋本さん) 【続いては】Recipe 2 サラダや添え物イメージを一新! ルッコラ&ベビーリーフと桜海老のかき揚げRecipe 2 サラダや添え物イメージを一新!ルッコラ&ベビーリーフと桜海老のかき揚げ「ベビーリーフやルッコラといえば、サラダ! という人は多いと思いますが、揚げものにすると新鮮な一品に。イメージは洋風かき揚げです。めんつゆではなく、塩と青のりでいただきます。桜エビの塩分があるので、お子さんは何もつけず、そのまま食べてもOK。ベビーリーフは生で食べると苦味がありますが、揚げると軽減されて食べやすくなります」(橋本さん) 材料(2人分)ルッコラ…2束ベビーリーフ…1パック玉ねぎ…1/4個桜海老…大さじ2青のり塩(青のり小さじ1/3に、塩少々を混ぜたもの) <A>薄力粉…大さじ3冷水…大さじ2と1/2 つくり方(1)<A>を混ぜ過ぎないように合わせて衣をつくる。(2)かき揚げ1枚分のざく切りにしたルッコラと薄切りにした玉ねぎ、ベビーリーフ、桜海老を合わせ、薄力粉を小さじ1/3程度(分量外)茶こしでふりかける(衣がつきやすくなる)。(3)(2)に(1)を大さじ1程度かけ、さっくり混ぜて、170℃の低めの油に薄く広げるように入れ、まとまるように揚げる。お好みで青のり塩を添える。 ★Point 葉野菜に薄力粉をまぶす「薄力粉をまぶすと衣のつきがよくなります。さっくり揚げるには、衣をしっかり冷やしておくこと。鍋の中央で揚げるのではなく、端に寄せるように生地を落とすと、具材が散らばることなく揚げられます。最初から高温で揚げると焦げてしまうので、160~170℃程度の火加減で揚げるのもポイントです」(橋本さん) 【続いては】 Recipe 3 ほうれん草を丸ごとパスタソースに ほうれん草ジェノベーゼRecipe 3 ほうれん草を丸ごとパスタソースにほうれん草ジェノベーゼ「いわゆるジェノベーゼは生でペーストにしますが、アクの強いほうれん草はゆでてからペースト状にするとえぐみがなくなります。繊維が柔らかくなってからの方がペーストにしやすいという利点も。えぐみは身体にもよくないといわれているので、きちんと取り除いてから調理しましょう。オリーブオイルが入っているので1週間くらい日持ちします。サンドイッチのソースとして塗ったり、お肉にかけたりしてもおいしいです」(橋本さん) 材料(2人分)ほうれん草…1輪スパゲッティ…200g生ハム…6枚ドライハーブ(バジルやオレガノなど)…小さじ1 <A>ニンニク(すりおろし)…1片分オリーブオイル…大さじ5パルメザンチーズ…大さじ3白ごま…大さじ2塩…小さじ1 つくり方(1)ほうれん草は柔らかめにゆでて、冷水に取った後しっかり水気を絞る。ざく切りにして、<A>とともにハンドミキサーなどでペースト状にする。仕上げにバジルやオレガノなどのドライハーブを加え、混ぜる。(2)ゆででよく湯を切ったスパゲッティに(1)を適量絡め、生ハムを載せる。お好みでパルメザンチーズをふる(分量外)。 ★Point ペーストにドライハーブを入れる「ペースト状にした後、最後にドライハーブを入れて香りを出します。そうすると、ワンランク上のパスタソースに仕上がるんです」(橋本さん) 【続いては】 Recipe 4 たっぷりダレをかけたデパ地下風サラダ ゆで鶏の小松菜ねばとろダレRecipe 4 たっぷりダレをかけたデパ地下風サラダゆで鶏の小松菜ねばとろダレ「さっぱり食べられるごちそうサラダです。レンジでチンした小松菜に、たたいた長いもを入れ、めんつゆとオリーブオイルを絡めるだけ。小松菜はゆでてもOKですが、洗った後に水気を切らずにレンチンすると、パサつきも防げる上に簡単かつスピーディです。このタレは、納豆を入れてそのままごはんにかけてもおいしいですよ」(橋本さん) 材料(2人分)小松菜…2束長芋…20㎝(200g)鶏むね肉…250gしょうがのスライス…2枚長ねぎの青いところ…1本分 <A>めんつゆ…大さじ3オリーブオイル…大さじ1塩…小さじ1 つくり方(1)鍋に鶏むね肉としょうがのスライス、ねぎを加え、しっかりかぶる程度に水を入れて火にかける。沸騰したら弱火で5分加熱後、火を止めて湯が冷めるまで置く(余熱で火をとおす)。(2)ポリ袋に皮をむいた長いもを入れ、麺棒または空き瓶などで粗くたたく。小松菜はサッと洗い、長さを半分程度に切り、ラップに包んで600Wの電子レンジで1分程度加熱する。冷水に取った後水気をよく絞り、粗いみじん切りにする。(3)ボウルに(2)の長芋と小松菜、<A>を合わせ、ソースをつくる。(1)を食べやすいそぎ切りにして器に盛る。仕上げに上からソースをかける。 ★Point 長いもはポリ袋でたたく「長いもは包丁を使わず、ポリ袋に入れて麺棒で粗めにたたきます。このとき、すべてきれいにつぶさず、少し食感を残すのがポイントです」(橋本さん) 【続いては】 Recipe 5 鍋の定番野菜をサラダで新鮮メニューに 春菊とりんごのサラダベーコンオイルがけRecipe 5 鍋の定番野菜をサラダで新鮮メニューに春菊とりんごのサラダベーコンオイルがけ春菊とリンゴという旬の食材を合わせた冬サラダです。オリーブオイルとベーコンでつくったホットドレッシングがポイント。食べる直前にレモンをかけ、さっぱりとしたサラダに。リンゴの甘味とベーコンの塩気がよく合います」(橋本さん) 材料(2人分)春菊…1/2パックりんご…1/4個ベーコン…2枚くるみ(細かく砕く)…大さじ1ニンニク(みじん切り)…1/2個分オリーブオイル…大さじ3塩、コショウ、レモン汁…各適量 つくり方(1)春菊は葉を摘み、茎の太いところは半分に割っておく。冷水につけ、パリッとさせてよく水気を切る。りんごは皮付きのままスライスする。(2)フライパンにオリーブオイル、ニンニクと短冊状に切ったベーコンを入れ、弱火でベーコンがカリカリになるまで加熱する。(3)器に(1)の春菊、りんごを盛り付けて、上から熱々の(2)をかける。くるみを散らして塩、コショウをふり、レモンを絞る。 ★Point ベーコン入りの熱々オイルドレッシングをかける「春菊はそのまま食べると苦味が強いので、熱々のオイルをかけて苦味を軽減します。旨味たっぷりのカリカリに焼いたベーコンを入れ、コクとボリュームをさらにアップ!」(橋本さん)  つくってくれた人橋本彩子さん料理家。8歳男の子のママ。ケータリング、書籍、CM、映画の料理製作を経て独立。現在は料理雑誌、ファッション誌、教育雑誌などで料理の製作、テーブルスタイリングを中心に活動中。市場通いを日課とし、その食材を活かした料理レッスンやワークショップを実施している。自身の体験をもとにした家事服+エプロン「work onepiece」の企画販売も行う。[Instagram]https://www.instagram.com/saiko_hashimoto/[BLOG]http://citronnette.blog133.fc2.com/