教えて!マイスター

教えて、はっしーさん!おにぎりの「お米と具のマリアージュ」

我が家のいつものお米に、定番の具。おにぎりはそれでももちろん十分おいしいですが、お米と具の組み合わせを工夫すればきっと未体験のおいしさに出会えるはず!そこで、月間200万アクセスを誇るグルメブログ「イエス!フォーリンデブ★」を主宰し、テレビや雑誌でも活躍中のグルメエンターテイナーの、フォーリンデブはっしーさんにお聞きしました。どんなお米の品種と具が最高のマリアージュを生みますか? そして、お米ソムリエの資格も持つNo.1グルメブロガーを思わずうならせたおにぎりの具とは……?おにぎりは“コメ”ニケーションツールです!── はっしーさんといえば、山盛りライス片手にごはんと相性のよい様々なおかずで“オンザライス”するのがトレードマークですが、“インザライス”であるおにぎりも召し上がりますか。もちろん食べますよ。大好物です。オンザライスはおかずを用意して、かしこまって……まではいかないにしても、ちゃんと食卓に座って“ごはんでござる”という感じで食べますが、おにぎりは手軽で持ち運びもできて、難しいことを考えずにサクッと食べられるのがいいところだと思います。デブにとってはおやつにもなりますし。それと、自分でにぎって食べるときももちろんありますが、誰かのためににぎるっていうのが素晴らしいですね。ご家族だとか恋人だとか友達だとか…そういう誰かのことを思いながら気持ちを込めてにぎるっていう。まさにおにぎりって、コミュニケーションツールなんです。言うなれば、”コメ”ニケーションですね!── 上手い!!(笑) はっしーさんは誰かのためにおにぎりをにぎったことはありますか?4歳の娘のためににぎります。娘と一緒ににぎるのも楽しいですね。── ちょうどお手伝いが楽しい時期ですね。おにぎりなら簡単だし、小さいお子さんのお手伝いにぴったりですね。そうですね。そこがオンザライスやほかの料理とは違う、おにぎりのよさでもありますよね。家では朝ごはんのときに一緒ににぎることが多いです。娘の大好きなシャケやふりかけを混ぜごはんにして一緒ににぎるのが楽しくて。楽しい過程を経て食べると、娘もよりおいしく感じてくれるようです。お弁当には冷めても美味しいお米、こってりした具にはさっぱり系のお米── 具のお話が出てきましたが、おにぎりにおける、お米と具のマリアージュについてお聞かせください。おにぎりのごはんの中には無限大の可能性が広がっていて、どんなものを入れても楽しめる。この選択肢の多さが、おにぎりのいいところだと思います。ただ、お米と具にも相性があって、それがぴったり合うと最高のマリアージュ、そして最高のおいしさにたどりつきます。じゃあ相性とは何なのかといえば、それこそ恋愛と同じで……。まあ、デブが恋愛語ってどうするんだって感じなんですけど(笑)。たとえば、すごく前に出てくる旦那さんがいれば、陰で支える奥さんがいる。逆に、ふたりともバリバリ働いて、お互いに刺激し合うような関係もある。ふたりの関係性をどんな形に持っていきたいかが、おにぎりにおいても重要だと思っています。でも、好みは人によって様々。だからまず、「どういう新婚生活を送りたいか(どういうおにぎりを作りたいか)」と理想を思い描いた上で、具材選びをしていただきたいと思いますね。── 人によってそれぞれあっていいということですね。とはいっても、選び方にポイントはありますよね。最初に判断するポイントとしては、すぐに食べるか、お弁当として持って行くかということですね。それによって、選ぶお米が変わってきます。お弁当にするなら、冷めてもおいしいお米を選びます。おにぎり協会認定米の「たかたのゆめ」は、冷めてもおいしさをキープしてくれますね。粘りも大事なポイントです。お米に含まれるアミロース値によって粘りが判断されるのですが、たとえばアミロース値の低い「ミルキークィーン」という品種は粘りが飛び抜けて強く、モチモチした食感が特徴です。そういうモチモチ系のお米にパワフルな具を合わせると、お互いケンカしてしまうんですね。互いに自己主張の強い夫婦みたいな(笑)。そういうお米には、お米のおいしさを引き立ててくれる、漬け物などさっぱり系の具を合わせるのがおすすめです。「魚沼産コシヒカリ」も甘みと粘りが強いので、やさしい佃煮やしらすなどを合わせてあげるといいですね。── 唐揚げのように、こってり系の具を合わせたいときは? 「あきたこまち」はどうでしょう。母なる大地のようなやさしさで、こってりした揚げ物の重さをしっかり受け止めてくれるお米です。山形県の「はえぬき」もサッパリしていて、こってり系には合いますね。山形県は最近「つや姫」押しではあるんですが、「つや姫」も「はえぬき」も、こってり系の具を受け止める懐の深さがあると思います。── お米と具を夫婦の関係に例えるのがいいですね。お米への愛を感じます。ありがとうございます(笑)。ただ、マリアージュをそんなに難しく考える必要はなくて、新しいお米を取り寄せてみて、「これはモチモチしてるな。なら、このお米にはこういう具が合いそうだ」と考えるくらいの気軽な気持ちから入るのが一番です! おにぎりって、誰でもにぎれる手軽なもの。そこに変に難しい理屈はいらないって思うんですよね。No.1グルメブロガーをうならせたおにぎりの具は?── ハッシーさんが一番好きなおにぎりの具は何でしょう?すじこです。すじこの旨味と塩気、あれは猛烈に白米を引き寄せますね。すじこをごはんと一緒にかじった瞬間にそこから溢れ出るエキス。このエキスがお米と具材とを結ぶ架け橋になってくれるんです。オンザライスにも言えることですが、適度な汁気や旨味のエキスがある具材は間違いないと思います。── おにぎりと具の大きさも重要ですか。すじこの場合は結構、塩気が強いので、あまりたくさん入れすぎないほうがいいとは思います。でも、どこから噛んでもすじこに到達するくらいの、おにぎりと具の大きさのバランスが理想ですね。どんな具材であっても、ひと口目で出てくるといいですよね。── おにぎりの具は和物の食材が多いですが、洋風のアレンジでおいしいものがあったら教えてください。まず、“チーズおかか”ですね。すじこの次に好きです。おかかにはしょうゆをたらすのですが、しょうゆとチーズの相性が素晴らしいです。お米は玄米にしてもいいですね。玄米の香ばしい風味とチーズおかかの組み合わせが最高です!カポナータおにぎりもいいですね。トマトと白米の相性が抜群。表面にチーズを乗せてあぶり焼きにすると、もう最高です。あとは、カルボナーラ。麺は入れずに、パンチェッタとチーズと卵を炒めて、ちょっと汁気を飛ばした具を入れて。おにぎりはそれくらい自由度が高く、何でもできるので、気になる食材でぜひ試してみてください。全国で出会った個性的な“ご当地おにぎり”── Jリーグの親“膳”大使としてスタジアムを回ったりと、お仕事で全国各地へ行かれる機会も多いと思いますが、各都市にご当地おにぎりはあるものですか。あります。気軽ににぎれるものだからこそ、家庭に根付き、それぞれの地域によるご当地色が出てきたんでしょうね。三陸沿岸部だと海鮮系だけど、内陸部ではお肉系だとか、ご当地の食材を使ってるケースが多いですね。ちょうど先週、陸前高田に行ってきましたが、牡蠣の佃煮入りのおにぎりがありました。── 全国を回られて、「これは!」と思った具はありますか。石川県の白山市で食べた“ふぐの卵巣”です。猛毒のふぐの卵巣を2年以上糠漬けや塩漬けにして毒を抜いた、幻の珍味です。食感はかなり存在感がありますね。風味もすごいです。やはり、個性のある具材はお米も進みますね。福井の“鯖のへしこ”もいいですね。北陸はお米もおいしいですし。お米のことでいうと、やはりその土地のお水で炊いたごはんはうまいですね。旅行や仕事でお出かけすることがあれば、それぞれの土地でおにぎりを食べてみると楽しいと思いますよ。── 地域によっては、必ずしも“具材はごはんの中”とは限らないのでしょうか。はい。宮崎の肉巻きおにぎりがそうですね。和歌山の「めはり寿司」も然り。「寿司」と言いつつも、白米や酢飯を浅漬けの高菜の葉でくるんだ見た目はおにぎりのようで、寿司とおにぎりは本当に切っても切れない関係だなと思わずにはいられない郷土料理ですね。ご家庭で色々とアレンジを楽しんでもいいと思います。僕は、家では“具材埋め込み型”のおにぎりを作ることがあります。ごはんをにぎったあと、真ん中を少しへこますんですよ。そこにいくらなど、華やかな具材を置くときれいです。ホームパーティとか、見た目もこだわりたいときにいいですね。お米はガソリン。ここ一番というときにはおにぎりを!── おにぎりは、昔から食べると元気が出る“パワーフード”として、日本人に親しまれて来た経緯がありますね。妊婦さんが出産の前に食べるという話は今もよく聞きます。そうなんですよ。おにぎりは腹持ちもいいですし。僕、糖質オフは絶対によくないと思っていて。炭水化物やカロリーが嫌がられているじゃないですか。もう何でもカロリーオフ、カロリーオフって。でも「カロリー」って、日本語に訳すと「熱量」なんですよ。“熱量とらずに、あなたの人生どれだけ熱入れられるんですか?”って話ですよ(笑)!とくにお米はガソリンみたいなもの。毎日頑張る源になるので、しっかり食べてもらいたいですね。そして、疲れたときやここ一番というときのチャージに、ぜひおにぎりを頬張ってみてください。体の底からじわりと、エネルギーがみなぎってくるはずです!●フォーリンデブはっしー(橋本陽)さんブログ「イエス!フォーリンデブ★」(http://fallindebu.net)主宰。グルメエンターテイナー。 著書に『東京 肉らしいほどうまい店』(KADOKAWA刊)がある。一般社団法人おにぎり協会(http://www.onigiri-japan.com)のおにぎり応援大使のひとりでもある。取材協力:おにぎり 浅草 宿六 http://onigiriyadoroku.com/

ニクイねぇ!調査隊

“おにぎりブーム”の秘密を探る。魚と同様、美味いごはんは “活け締め”で!

昨秋くらいからブームとなっているのが、握らないおにぎり「おにぎらず」。レシピ投稿サイト『クックパッド』では、1000品目超のレシピが公開されているほどの人気ぶりです。とはいえ、やっぱり日本人のソウルフード=“握る”おにぎりも、根強い人気をキープしています。 おにぎりは、かつて歴史の大事な局面で、陰の主役として活躍した、という事実があります。かの有名な戦国武将・豊臣秀吉は、主君の織田信長が本能寺の変で討たれた後、天下を取るまでにいくつもの戦いを経験していますが、その局面の陰で、率いる武将や足軽たちにおにぎりを渡し、彼らのやる気を促したという話も残っています。 そんなおにぎりについて、テレビのあるバラエティ番組で、非常に興味深い事実を紹介していました。 世界広しといえど、素手でごはんをそのまま握り、そのまま素手で食べるという習慣があるのは、日本人だけ。専門家は「それは“炊きたてのごはんを活き締めする”最も有効な方法」であると。 さらに、同番組には、老舗おにぎり専門店の女将さんも登場。そもそも、おにぎり専門店があるというのも、おそらく日本だから(もしくは日本人が多く住む地域だから)かもしれませんが、その女将さんはおにぎりについて、以下のように言及していました。 「炊きたてのごはんも、そのまま放置していては冷めてしまい、お米からどんどん水分が抜け、形もつぶれ、美味しさが失われていく。そうした劣化を防ぐための秘訣は、ある程度お米とお米の間にすき間を作り、ふっくらとした状態で、外気に触れる外側だけを軽く握ること」であると。 つまり、おいしいおにぎりは、ごはんのおいしさを長続きさせる秘訣だったんですね! おにぎりは日本人にとって、いつの時代も人々へパワーを与えるとともに、おいしいごはんの象徴。日本人のおいしいごはんへの飽くなき追求が続く限り、今後もおにぎりブームは続きそうですね。