世界各国で「愛の誓いの日」とされているバレンタインデー。日本では、「本命チョコ」や「義理チョコ」、友だちに渡す「友チョコ」、自分用の「ご褒美チョコ」など、シーンやシチュエーションに合わせてバレンタインデーが楽しまれています。
そのため、多彩なチョコレートが市販されており、その中からお気に入りのアイテムを選ぶのもウキウキするものですが、今年は思い切って、手づくりしてみるのはいかがでしょうか? 「プレゼントできるほど上手につくれる自信がない!」と、手づくりチョコを敬遠してきた方でも大丈夫。今回はフードコーディネーターの島ともこさんに、バレンタインにぴったりの、簡単チョコレシピを教えてもらいました。定番の「濃厚生チョコ」や「半生ガトーショコラ」から、おうちスイーツまで、どれも小学校の中学年くらいからひとりでつくれるものばかりです。
また、後半で簡単なテンパリングの方法と、プレゼントに最適なラッピング術、ふたつのお手軽テクニックもご紹介します。特に、難しいと思われるテンパリング(調温)も、三菱レンジグリル「ZITANG(ジタング)」のレンジ機能を使うと簡単です。ぜひ参考になさってください。
Recipe 1
口どけのよさが魅力!
濃厚生チョコ

「手づくりチョコの定番である『濃厚生チョコ』は、見た目も味も本格的なのに、実はつくり方はとてもシンプルで簡単。チョコレートを生クリームに溶かして固め、四角くカットするだけです。固める際に小さなカップを使えば、カットする工程を省け、より手軽につくれます。材料も少なくて済むので、初心者の方でも上手に仕上げられますよ」(島さん)
材料(20×14cmのバットひとつ分)
製菓用チョコレート……250g
生クリーム……150ml
ココアパウダー…… 適量
つくり方
(1)チョコレートをすべて、太針くらいのサイズになるよう細く刻む。
(2)鍋に生クリームを入れて火にかけ、沸騰する直前で火を止める。
(3)(2)の鍋に(1)のチョコレートを入れ、ヘラでやさしく混ぜながら溶かす。
(4)ラップを敷いたバットやトレーなどに(3)を流し入れ、チョコレートが平らになるようヘラで表面を整える。
(5)(4)のあら熱を取り、冷蔵庫で3時間ほど冷やす。
(6)バットからチョコレートを取り出してお好みの大きさにカットし、茶こしなどでココアパウダーを振る。
★Point チョコレートは細かく刻んでおく

「チョコレートは太針くらいの細さに刻んでください。こうすることで、手早く、なめらかにチョコレートを溶かすことができます。お子さんがつくる場合、包丁でチョコレートを刻むのが心配ならば、あらかじめサイコロ状やフレーク状になった製菓用チョコレートを使うといいでしょう」(島さん)
Recipe 2
表面はしっとり、中はとろけるリッチな味わい
半生ガトーショコラ

「数あるバレンタインチョコの中で、生チョコと人気を二分しているのがガトーショコラ。今回は、中をしっとりと半生状態に焼き上げることで、生チョコのような口どけを楽しめるよう仕上げました。オーブンで焼いた後、冷蔵庫で3時間ほど冷やすと固まるのですが、時間があるときは半日ほど冷やすようにすると生地が締まり、チョコレートの味が際立ってさらにおいしくなります」(島さん)
材料(18×8cmパウンド型1本分)
チョコレート……180g
無塩バター……120g
生クリーム……50ml
グラニュー糖……20g
卵……3個(常温に戻しておく)
ココアパウダー……適量
ピンクペッパー……適量
つくり方
(1)チョコレート、無塩バター、生クリーム、グラニュー糖を鍋に入れ、混ぜながら弱火にかける。全体が溶け、なめらかになったら火を止める。
(2)(1)の鍋に、溶いた卵を混ぜながら2回に分けて加える。
(3)(2)の生地をパウンド型に流し入れる。10cmほどの高さから数回落とし、中の空気を抜く。
(4)180℃に予熱したオーブンで20分間焼く。
(5)焼き上がった直後は生地がまだ柔らかいので、型に入れたままあら熱を取る。その後、冷蔵庫で3~4時間冷やし固める。
(6)お好みの大きさにカットし、茶こしなどでココアパウダーを振ってピンクペッパーを飾る。
★Point 切り分ける際はカットするたびに包丁を拭く

「直前まで冷やしておいた半生ガトーショコラを、お好みの大きさにカットしていきます。このとき、包丁についたチョコレートは、カットするたび拭くようにしてください。こうすることで、カットしやすくなる上、断面がきれいに仕上がります。包丁を拭くときは、キッチンペーパーや清潔なふきんなどを使いましょう」(島さん)
Recipe 3
スポンジケーキのようなフワフワ感がたまらない
ベイクド・チョコプディング

「文字どおり、baked=焼かれた、チョコプディングです。仕上がりは、チョコスポンジケーキのような食感で、生クリームを添えていただくことで、口当たりがさらによくなります。冷めてもおいしく食べられますが、レンジで少し温めると、温かいチョコプディングとひんやりした生クリームによる、味のコントラストを楽しめます」(島さん)
材料(約250ccのマグカップ4個分)
薄力粉……125g
グラニュー糖……120g
ベーキングパウダー……小さじ3
塩……ひとつまみ
ココアパウダー(無糖)……大さじ4
牛乳……250ml(常温に戻しておく)
無塩バター……85g(常温に戻しておく)
卵……2個(常温に戻しておく)
バニラエッセンス……適量
生クリーム……100ml(砂糖8gと合わせ、あらかじめ泡立てて冷やしておく)
つくり方
(1)薄力粉、グラニュー糖、ベーキングパウダー、塩、ココアパウダーをふるいにかけながら、ボウルに落とす。
(2)(1)のボウルに、牛乳、無塩バター、卵、バニラエッセンスを加え、ヘラで混ぜる。
(3)マグカップの内側にバター(分量外)を薄く塗った後、生地を流し込む。
(4)190℃に予熱したオーブンで20分間焼く。焼き上がったら竹串を刺し、生地がついてこなければ焼き上がり。
(5)(4)に泡立てた生クリームを載せる。
★Point 生クリームを載せる部分をくり抜いておく

「焼き上がった際は、生地の上部が丸く膨らんでいますので、中央をスプーンなどで少しくり抜いておくと、生クリームを載せやすく、見た目もきれいに仕上がります。焼きたてはフワフワでスプーンを入れにくいので、少し冷めてから行ってください」(島さん)
Recipe 4
濃厚でなめらかな舌ざわりが贅沢!
チョコレート・パンナコッタ

「パンナコッタとは、生クリーム、牛乳、砂糖を煮て、ゼラチンで固めたもので、オーブンを使わずつくることができます。そのままでもなめらかでコクのある味わいですが、トッピングに生クリームやミント、ナッツを使うと、アレンジも楽しめます。おうちで食べるときは、パウンド型でつくり、カットして食べるのもおすすめです」(島さん)
材料(120mlの器ふたつ分)
生クリーム……100ml
牛乳……150ml
砂糖(細かいもの)……50g
ココアパウダー (無糖)……35g
粉ゼラチン……5g(25mlの冷水で戻しておく)
つくり方
(1)鍋に生クリームと牛乳を合わせ、人肌くらいに温める。
(2)ボウルに砂糖、ココアパウダーを入れて軽く混ぜる。そこに(1)を2回に分けて入れ、やさしく混ぜる。全体が混ざり、なめらかになったら、また鍋に戻す。
(3)鍋を弱火にかけ、戻しておいた粉ゼラチンを入れる。軽く混ぜたら火を止める。
(4)(3)を茶こしなどでこしながら、ゆっくりと型に流し入れる。
(5)冷蔵庫で4~5時間冷やし固める。
★Point 粉ゼラチンは冷水で戻しておく

「粉ゼラチンを戻すときは、冷水の中に粉ゼラチンを振り入れ、軽く混ぜるようにしましょう。熱湯やぬるま湯で戻そうとすると、容器の回りだけ水を吸ってしまい固まりません」(島さん)
Recipe 5
ザクザクとした食感がクセになる!
ラズベリー・チョコクランブルがけアイス

「クランブルとは、クッキー生地のような食感で、主に焼き菓子などのトッピングに使われるもの。今回はココア味に仕上げ、トッピングのラズベリーとともに、バニラアイスの上にかけてつくります。ラッピングには向かないので、おうちスイーツとして、おやつやおもてなしにどうぞ!」(島さん)
材料(4人分)
バター……30g(常温に戻しておく)
砂糖……30g
薄力粉……30g
アーモンドプードル……30g
ココアパウダー(無糖)……5g
塩……1g
チョコレート……70g(刻んでおく)
バニラアイス(市販のカップ)……約120ml
※スクープで4等分して器に盛り、冷やしておく
フリーズドライ・ラズベリー……適量
つくり方
(1)常温に戻したバターと砂糖をボウルに入れ、よく混ぜる。
(2)(1)のボウルに薄力粉、アーモンドプードル、ココアパウダー、塩を加え、さらによく混ぜる。
(3)生地をひとつにまとめ、冷蔵庫で1時間冷やす。
(4)オーブンシートを敷いた天板の上に、(3)の生地をランダムにちぎって載せていく。オーブンを230℃に予熱しておく。
(5)オーブンを200℃に下げ、2~3分間焼く。
(6)刻んだチョコレートを耐熱ボウルに入れ、「ZITANG」の「レンジ/500W」で10~20秒ずつ様子を見ながら加熱し、かき混ぜながらチョコレートを溶かす(湯せんする場合は、刻んだチョコレートをボウルに入れ、45℃前後のお湯を入れたボウルで温めながら溶かしていく)。
(7)冷やしておいたアイスの上に(5)のクランブルを載せ、(6)のチョコレートをかけたら、最後にラズベリーを飾る。
★Point 生地を焼くときはランダムにちぎる

「クランブルの生地を焼くときは、手でちぎって天板に載せていってください。ひとつひとつ形を整えるより、大小さまざまなサイズがあった方が、ゴツゴツ、ザクザクといった食感が活きてきます」(島さん)
●お手軽テクニック① 湯せんも温度計も不要!「簡単テンパリング」
テンパリングとは、45~50℃に温めて溶かしたチョコレートを25℃程度に冷やし、再び30℃程度に加熱してから冷やし固める温度調整工程のこと。口当たりや風味をよくするために行う、おいしいチョコレートスイーツづくりの基本です。チョコレートをゆっくり溶かす方法としては湯せんが一般的ですが、最近は電子レンジを活用する方も増えています。
そこで、三菱レンジグリル「ZITANG(ジタング)」のレンジ機能を使った、簡単なテンパリング方法をご紹介します(※工程は、Recipe 5「ラズベリー・チョコクランブルがけアイス」のものを参照)。
「ZITANG」のレンジ機能を使うと、「温度調節がうまくできなかった」とか「チョコレートのボウルにお湯が入ってしまった」といった失敗がありません。特に初心者の方におすすめしたい方法です。
http://www.mitsubishielectric.co.jp/home/rangegrill/
(1)耐熱ボウルに刻んだチョコレートを入れる。

(2)「ZITANG」で「レンジ/500W」に設定し、ラップをかけずに10~20秒間加熱する。

(3)加熱してはかき混ぜる、という工程を何度かくり返し、チョコレートが溶けきったらOK。
★Point チョコレートの状態を見ながら少しずつ加熱していき、かき混ぜながら溶かす
溶けきらないと舌ざわりがザラザラとした仕上がりになりますし、逆に加熱しすぎるとチョコレートが焦げてしまうので、注意してください。
●お手軽テクニック② 見た目も大切!「簡単チョコラッピング」
チョコレートが完成したら、最後はラッピングにもこだわってみましょう。今回は、Recipe 2でつくった半生ガトーショコラを使った、簡単なラッピング方法をご紹介します。ラッピングの材料は、すべて100円ショップなどで購入できるものばかり。準備しやすく、誰でも手軽にかわいらしいラッピングを楽しめますよ。

材料
OPP袋……1枚(30×20cm程度)
透明フィルム(クッキングシートでも可)……ガトーショコラをひとつずつ包めるサイズ
箱やケースなどの容器(中にカップを入れておくとチョコがズレにくくて便利)……1個
リボンなど袋を縛ることができる飾り……1個
つくり方
(1)袋に容器だけを入れる。両脇の余った部分をテープで留める。
(2)袋内に入れた容器に、カップ、ガトーショコラを入れる。
(3)袋の上部を端から静かに手繰り寄せ、リボンを結んで留める。
★Point ガトーショコラは透明フィルムであらかじめ包んでおく

「ガトーショコラは、ラッピング前に透明フィルムで包んでおくと、ココアパウダーが回りについてしまうのを防ぐことができます。おしゃれな柄のクッキングシートを使ってもいいですね」(島さん)
チョコレートは、甘さ、香り、口どけ……など、いくつもの感覚を刺激し、とても幸せな気分にしてくれます。特に手づくりチョコレートは、もらった相手にとっても「自分を思ってつくってくれた」ことが感じられて、特別にうれしいものとなるでしょう。
おすすめは、ママとお子さんで力を合わせて手づくりしたチョコレートを、パパにプレゼントすること。愛情や日頃の感謝の気持ちを込めてつくったチョコレートは、世界で一番おいしく感じられるはずです。
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つくってくれた人
島ともこさん

アパレル業界を経て、フードコーディネーターに。現在はレストランに勤務する傍ら、マーケット出店やケータリングなど、食に関する活動を広げている。17才、12才、10才の3兄弟の母。奇をてらわない、「日々の暮らしの中の食」を大切に、食べた人が幸せになるゴハンをつくり続けている。
[Instagram]@tomo_shima0328