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叱る回数が減る!? 保育士に聞く「叱り方のコツ」7

文/ニクイねぇ! PRESS編集部 写真提供/ロハスキッズ・センター クローバー

2018.10.08

多くのママやパパが悩むのが、子どもの叱(しか)り方。子どもが何か悪いことをしたとき、怖い顔で声を荒げて伝えるのは、ママやパパ、そしてお子さんにとってもストレスになります。そこで、ちょっとした工夫でできる、お子さんを叱る場面がグッと減る効果的な接し方を、認可外保育園「ロハスキッズ・センター・クローバー」の園長、中田綾先生に教えてもらいました。

 

「叱ること=悪いこと」ではなく、子どもに“寄り添うこと”

「まず、大前提としてお伝えしておきたいのは、お子さんを叱ることは決して悪いことではない、ということ。叱ることはイコール見守ること、寄り添うこと。それは愛していなければできない行為です。寄り添い、関わるということは、子どもにとって言葉以上に愛情を感じ、信頼関係を確認できるとても大切なやりとり。親子にとって重要なコミュニケーションです。しかし、ママもパパも人間。ときにはイライラしたり、感情的に叱ったりすることもあるでしょう。でも、それでいいのです。大切なのは、その後、お子さんとどう接するか。いいすぎてしまったときなど、ママやパパが『ごめんね』をいったり、いつもより気持ちを込めてハグをしてあげたり、自然と何かしらのフォローをしていると思います。実はこうした関わり方が大切で、その過程で子どもが得るものも大きいのです。だから、叱ることをマイナスととらえず、叱るようなことがあっても決してわが子を見放さない、ということを心に留めながら、お子さんと向き合ってほしいですね」(中田先生)

 

 

子どもの特性を熟知した保育士だからわかる

叱る回数を減らす!?「わが子への接し方7つのコツ」

ここからは、お子さんを叱る回数がグッと減る、具体的な接し方について解説してもらいます。

 

𠮟る回数を減らす接し方のコツ

未就学期にこそ、より多く関わり合う

「小学校に入る頃の、6、7歳になる子どもには新しい感情が芽生えます。それは“自立心”です。未就学期、子どもの近くにはどんなときも必ず大人がいます。ところが、小学校に行った瞬間から、さまざまなことをひとりで行わなくてはなりません。お子さんの長い人生、これからいいことも悪いことも含め、たくさんの出来事が起こりますが、子どもが自立して一歩前に踏み出すときの原動力は、ママやパパから受けた愛情です。『愛されている』『見守られている』という絶対的な愛をどこかで感じていれば、どんなことがあっても前進できるのです。それが培われるのが、小学校入学前の、自立していない6年間。この期間にどれだけ子どもと関わったかが重要なのです。子どもにしっかりと寄り添いながら、愛情を持って叱り、褒めるということには、心の成長にとても大きな意味があるのです」(中田先生)

 

 

 

𠮟る回数を減らす接し方のコツ

親が予測できることは事前に伝える

「大人は多くの経験から、自然に予測をつけて行動し、物事に対して構えることができますが、経験の少ない子どもはイメージが乏しいので、なかなかそのようには行動できません。そこを補うのが、事前の声がけです。普段、ママやパパは事後に注意することが多いと思いますが、やったことに対して後から付け加えられることは、子どもにとってストレスになりやすいです。

ですから、やってはいけないことを先回りして伝えることが大事です。例えば、スーパーマーケットで走り回るお子さんに対し、やってしまった後に『ダメでしょ!』というのではなく、行く前にやってはいけないこととして『走らないようにしようね』と伝えてあげてください。この声がけにより、子どもは自分で想像します。『走ったら叱られる』というイメージがわくことで、未然にブレーキがかかりやすくなります。また、こうした伝え方によって想像力が芽生えるなど、事前の声がけはさまざまなことがプラスに働きます」(中田先生)

 

 

 

𠮟る回数を減らす接し方のコツ③

話すスピードや動作を遅くする

「子どもが興奮しているときに、そのピッチに合わせてママやパパが声を荒げては、声質が同化してしまって伝えたいことが届きません。そんなときは、いつもより少しゆっくりと話しかけてみてください。声質や声の流れで心理的なコントロールをしてあげることで、子どもはより聞き入れやすくなります。騒がしいときに、大きな声で矢継ぎ早に『静かにしなさい!』というよりも『はい、みんな、静かにしてね』と穏やかにゆっくり話す方が伝わります。逆に、子どもの動作がスローなときはスピードをあげて話します。

動作に関しても同様で、大人の体は子どもから見るととても大きく、そこから大声がしたり、さらには動きも大きかったりすると、視覚的にストレスを感じてしまいます。子どもがイライラしているときはいつもより動きをスローにしてあげると、イライラや怒りを増大させにくくなります」(中田先生)

 

 

 

𠮟る回数を減らす接し方のコツ④

家事タイムは子どもの居場所を決めておく

「家事をするときなど忙しい時間は、子どもがいる場所を決めておきましょう。そうすると、家事をする時間は、何をいわなくても自然とそこで遊んで、待っていられるようになります。“家事=その場所”と決まっていれば、お互いに“個の時間”をつくれます。子どもは自分のやることが決まっていなかったり、何をしていいかわからなかったり、達成感や満足感を得られなかったりすると、ママやパパのところに行くもの。ところが、自分の居場所があり、やるべきことが確立されていると、意外と親がいなくても大丈夫なのです」(中田先生)

 

 

 

𠮟る回数を減らす接し方のコツ⑤

子どものブームを有効活用する

「1歳から2歳前後になって悪いことをするときは、たいてい確信犯です。その場合、頭ごなしに叱るのではなく、お子さんにとってそのときに最も興味のあるものを利用するのが効果的です。

例えば、悪いことをしたら『これはママがもらっておくね』と、好きなものを一時的に取り上げて主導権を握ります。この時期の子どもにとって、好きな遊びやお気に入りのおもちゃで遊べなくなるのは、一番つらく苦しいこと。子どもにとって優先順位が高いものやそのときのブームをうまく使えば、より誘導しやすく、叱る回数を減らせると思います」(中田先生)

 

 

 

𠮟る回数を減らす接し方のコツ⑥

1日1回のハグタイムを習慣化する

「子育ては、実は料理と少し似ていて、少しの手間や気遣いで大きく変わります。日頃、ママやパパはお子さんと無意識にスキンシップをとっていますが、あえて意識的にその時間をつくってみてください。例えば、2、3歳くらいの多感なお子さんに対しては、1日2〜3分の“ハグタイム”をつくるといいでしょう。忙しいママやパパはどうしても時間に追われ、余裕がなくなりますよね。ですから、何にも邪魔されず、お子さんと思いきり向き合う時間を、1日のルーティーンに組み込んでしまうといいと思います。たった5分程度でも習慣化されていくと、ママとパパの気持ちが穏やかになり、ゆとりができてきます。親子関係においてプラスに働くことなので、ぜひ取り入れてみてください」(中田先生)

 

 

 

𠮟る回数を減らす接し方のコツ⑦

大切なことを一貫して言い続ける覚悟を持つ

「お子さんに対して注意することはいろいろあると思いますが、年齢関係なく共通していえることは、1回では伝わらないということ。育児の軸として、伝え続けるという姿勢が基本です。

子どもは周りの大人が関わり、声のシャワーを浴び続けるなかで、その都度、修正しながら学んでいきます。大切なことや守るべきことは、何度でも同じ事を言うのが当たり前、というくらいの覚悟を持ち、伝え続けましょう。初めての育児の場合、ママやパパは先が見えないことに不安やストレスを抱えがちですが、最初から長い道のりだと思って向き合えば、気持ちがラクになりますよね。注意し続けることは非常にエネルギーがいることですが、毎回、全力投球でなくてもいいのです。ガツンと1回でいうのではなく、寄り添いながらまんべんなく伝え続けていくことが大切です。ママやパパが日々いっていることは、きちんとお子さんの心にしみこんでいきますよ」(中田先生)

 

叱ることは、ママやパパにとってもエネルギーが必要なこと。でも、その程度や回数を少しでも軽減できれば、お子さんと触れ合う毎日の時間がさらに楽しく感じられるはず。少しの工夫で親子の笑顔が増える関わり方のヒントを、ぜひ参考にしてみてください。

 

 

教えてくれた人

中田 綾さん

株式会社 Kleur 代表取締役
ロハスキッズ・センター クローバー 園長
二子玉川ビエンナーレ実行委員会 代表

1975年生まれ。8年の保育士経験を経て、2004年に認可外保育園ロハスキッズ・センター クローバーの園長に就任。2016年に株式会社 Kleurを設立。「地域で育つ。社会で学ぶ。」をコンセプトに、保育園づくりを子どもたちと行っている。また、2012年に多くの子どもたちに本物のアートに触れてほしいという思いから、子どもも大人も楽しめる「二子玉川ビエンナーレ/二子玉川アートデポ」を開催。保育園だからできること、保育士だから気づくことを活かし、「こどもとアート」の取り組みに力を入れている。2018年春にはギャラリーを併設した新園舎も完成し、新しい保育園のスタイルを提案している。

 

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