ニクイねぇ!最前線

どれも似たようなもの…じゃない! 「換気扇」の進化が地味にスゴかった

文/石井和美 写真/松下哲也

2016.12.27

どこの家庭にも複数あるのに、ふだんあまり気にしていない家電といえば“換気扇”ではないでしょうか。

換気扇は、主にキッチン、浴室、トイレに設置してあり、室内の空気と屋外の空気を入れ換える大事な役割を果たしています。2003年の建築基準法の改正(施行)で、シックハウス対策として、24時間換気が可能な換気設備の義務化により、換気扇はいまやなくてはならない家電となっています。

そこで今回は“地味だけど実はスゴイ”換気扇にフォーカスしました。数多くのラインナップを誇り、一部では“換気扇の総本山”とも呼ばれている三菱電機では、ありとあらゆる換気扇を取り扱っているとのこと。そこで、岐阜県にある三菱電機の中津川製作所にお邪魔し、ふだんは一般公開していないショールームを拝見しながら、最新の換気扇事情についてうかがいました。

2三菱電機 中津川製作所

1-2ショールームには懐かしい換気扇や扇風機が! 左の金色の換気扇は、2006年の生産1億台を記念してつくられた非売品

 

プロペラファンからシロッコファンへ 時代とともに変わる換気扇の形

 

換気扇と聞くと、台所のガスコンロの上にある換気扇の姿を思い浮かべる方も多いと思います。台所のガスコンロの上にある標準換気扇は、壁に付けて直接、外へ風を送る“プロペラファン”が主流でした。プロペラファンは大風量に向いているため、換気量が多いのが特徴です。

プロペラファンは、今も戸建住宅で多く使われていますが、近年の高気密・高断熱の戸建住宅や集合住宅では、空気を送り出す力が強い“シロッコファン”の採用が多くなっています。

3このタイプがプロペラファンです

8貴重な金ピカのプロペラファン仕様。生産5000万台、1億台を記念し、中津川製作所でカラーリングされた非売品

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内部にシロッコファンが付いているレンジフードタイプの換気扇

シロッコファンは、プロペラファンのように外に面した壁につけるものではなく、部屋の中央部などからトンネルのようなダクトを経由して換気します。プロペラファンとシロッコファン、それぞれ異なる特長を生かして換気扇はつくられています。

プロペラファンは、最近では羽根の形状を工夫することで、より音が静かに。一方のシロッコファンも、ブレードを斜めにカットした円弧形状にするなどの工夫で、静粛性を高めています。

5上が最新のプロペラファン。羽根の形状を工夫して低騒音化を実現

6右が最新のシロッコファン。一枚一枚のブレードを円弧形状にすることで、低騒音化を実現しているとのこと

 

最新換気扇は“電気代が安い・ハイパワー・静か!”

 

一見、どれも同じように見える換気扇ですが、中身は着実に進化し続けています。中津川製作所では、羽根やモーターなどの基礎部分を開発し、幅広い製品を世に送り出しているとのこと。

7三菱電機 住宅用換気送風機製造部 換気扇技術 川又信幸さん(左)と、増田健司さん(右)。熱く解説してくださいました!

そして近年、積極的に開発を進めているのが、扇風機などでも注目されているDC(直流)ブラシレスモーターを搭載した換気扇。今のところ、AC(交流)モーターを搭載するタイプが主流ですが、DCブラシレスモーターの換気扇は、消費電力量を最大77%も低減でき、さらに外風の影響やダクト配管の長さなどに左右されることなく、設定した風量を一定に保つ制御もできるため、これからの市場の主役になると考えているとのことでした。

9左がDCブラシレスモーター、右がACモーター。
DCブラシレスモーターはコンパクトで、運転を制御する回路基板も内蔵されています

10消費電力量はこんなに違います。DCモーターの方がオトクなのは一目瞭然!

また、最新モデルのダクト用換気扇に採用されている“ハイブリッドナノコーティング・プラス”は、ファンにホコリが付くのを防ぐ世界初のコーティング技術(台所用を除くシロッコファンの製品に採用)。

換気扇が汚れてしまうと、換気風量が低下するばかりか、運転音が悪化する原因となるそうですが、三菱電機の換気扇は、その心配がほぼありません。10年間、省メンテナンスで、換気性能はほとんど落ちないそうです。ふだん見えないところまで、気配りが行き届いているんですね。

11ファンの汚れは換気効率を落とし、余計なパワーを使ってしまいます。これなら安心

 

単に空気を入れ替えるだけじゃない! 部屋の温度を逃さない換気システム「ロスナイ」

 

三菱電機はさまざまな換気扇を開発していますが、中でも驚いたのは、熱交換形換気機器「ロスナイ」です。

換気扇を使ったり、窓を開けたりして普通に換気をすると、たとえば冬場なら、せっかくエアコンなどで温めた室内に、外の寒い空気がそのまま取り込まれてしまいますよね。空気はキレイになるけれど、部屋は寒くなってしまいます。このムダを「室内の温度と湿度を逃さず、外のキレイな空気と換気する」ことで軽減する仕組みが「ロスナイ」なのです。

温度を伝え、湿度を通す“紙”の特性を生かすことで、1970年に世界で初めて開発に成功。“エネルギーのロス(損失)がナイ(ない)省エネルギー機器”なので「ロスナイ」と命名され、以来、40年以上に渡って進化を続けています。

ロスナイの心臓部である“紙”でできたロスナイエレメント(熱交換器)。紙といってもただの紙ではなく、温度をよく伝え、湿度をよく通す工夫や、汚れた空気を通さない(交換しない)工夫をした“特殊な紙”を使用しているとのこと。

さらにロスナイは、外気中に含まれる花粉やホコリなどをフィルターで取り除きながら給気するため、部屋にキレイな外気を取り入れることができます。

 13「ロスナイ」の最新エレメントである“ハイパーEcoエレメント”は、紙製エレメントより薄い特殊加工紙を仕切板に使用し、その接着面に湿度透過性の高い接着剤を用いることで、熱交換効率を向上させています

14学校など公共施設への導入も進んでいるそうです

15「ロスナイ」に使用されている“ハイパーEcoエレメント”の実物

ファンが回転しているだけの単純な家電、と思っていた換気扇ですが、こんなに進化していたなんて知りませんでした。

なお、換気扇の寿命は、一概に何年とはいえませんが、運転中にこれまでと違う異常音や振動がしてきたら替えどき、とのこと。さまざまなタイプの換気扇があるので、交換時にはぜひ比較検討してみてくださいね。

 

三菱電機の換気扇のページです。

 

文/石井和美

フリーライター・家電プロレビュアー。子ども2人と夫の4人家族。白物家電や日用品の製品レビューを得意としている。Webや雑誌などで多数執筆中。家電blog(http://kaden-blog.net/)管理人。

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